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<講義内容> 1. 米国の京都議定書からの離脱の意味 (1)理由としての「致命的欠陥」 ブッシュ政権は2001年3月に「京都議定書に致命的欠陥」として離脱した。これは私の考えでは、「議定書を遵守しても地球温暖化防止への寄与は乏しい」「真に有効な技術の開発を議定書が阻害する」という意味だろう。 京都会議に先立つ交渉の争点は、(1)目標とすべきなのは温室効果ガスのフローとしての排出量か、ストックとしての大気中濃度か、(2)早期対策が必要か、ゆっくりした対策で十分か、(3)数値アプローチか価格アプローチか、の3点に要約されるが、議定書の立場は(1)(2)(3)のすべて前者であり、米国共和党の立場はすべて後者である。 (2)離脱の影響 ロシアは「ホットエア」の取引相手に米国を想定していたため、米国の離脱により排出枠価格が下がると批准に消極的な態度を示すようになった。 また米国の離脱により「2010年までに、先進国全体(締約国)で1990年比5%の排出量削減」という目標達成の見込みが立ったため、民間企業のCDMへの動機が低下している。このような状況では、政府のクレジットを買い取りによる動機付けが必要である。 2. 日本国内の対策 (1)基本的な指針 日本は経済的手法を中心とした対策を実施すべきであるが、「京都議定書目標達成計画」(2005年4月)には、費用規模や費用負担者に関する記述がないという問題がある。 今後日本はハイテク、ソフトウェアを支柱とした「ポスト工業化社会」となるだろう。温暖化対策は産業を空洞化させるのではなく、技術革新のバネになる。議定書の目標は、国内対策と市場メカニズムの活用により達成可能な範囲内にある。 (2)炭素税 成熟化した先進国では、設備投資のプラス効果と増減税同額(税制中立)の実現により、炭素税の経済影響はほぼ中立的となる。確かに石油の価格弾力性は小さいが、買い換えまで考慮すれば長期的には十分に効果的である。国際競争力への影響は、輸出入の際の国境税調整で緩和できる。ただ導入にあたっては、税収を(1)一般財源(2)特定財源(3)税制中立のいずれにするかという問題がある。日本には対策により大きく損する産業がないという点で非常に対策がとりやすい。他国に先んじた対策は、日本企業の国際競争力を高める梃子となる。 <質疑応答> 松下教授から、米国の州や民間企業の政府より積極的な取り組みについて紹介があった。また会場からの中国に関する質問に対し、佐和教授は、原油高の経済影響を緩和するための設備転換により、排出状況が改善する可能性が高いと回答した。 (この講義録は当日の講義内容をもとに京都大学地球環境学舎で作成したものであり、講演者の確認を得たものではありません。)
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