京都大学2005年度特別公開講座(全学共通科目:環境政策論IB)
環境を考える経済人の会21(B-LIFE21)
「地球環境―企業と市民社会の対話と協力―」
第7回 『バイオマスを資源とする新しい社会創り 』

講師:藤村 宏幸 氏(株式会社 荏原製作所 名誉会長)
日時:2005.12.1


<講義内容>

1. 経営とは

経営とは、独創的なビジネスモデルや技術開発が社会に受け入れられることで、企業に新たな夢が生まれ、さらに社会の要望も高まるというらせん的な発展過程である。経営はすべて人の能力やつながり、道徳性にかかっているので、「人」を大切に扱うことが企業の根本である。

2. グローバル・トリレンマを同時に解決できる企業、システム

現在人類は(1)経済発展の必要性、(2)資源枯渇、(3)環境負荷、のグローバル・トリレンマに直面している。これを克服するのが21世紀の企業である。雇用創出における地場産業の役割が評価できる。地場で自然エネルギーをベースとした産業が活動し、その基盤の上にグローバルな企業が活動する、という状態が想定できる。また双方の企業において、究極のゼロエミッションの達成が必要である。

3. 日本におけるバイオマス利用の促進

様々なバイオマスは基本的に同じ成分のため、分別回収の壁を超えた精製が最も効率的である。エネルギー密度の小ささや回収の困難のためにビジネスとして成立しにくいが、最近の原油価格の上昇により、コスト競争力が向上している。日本国内で約1億トン、世界的には現在使用されているエネルギー量の6.5倍の潜在エネルギーがある。

これまでに、ガス化炉によるケミカルリサイクル、汚泥処理施設のバイオマス利用、エコベジタブルシステム温室などのプロジェクトが実施されている。これらを活用した地域トータルエネルギーマネジメント事業のイメージが描ける。

政府の取り組みとしては、2002年12月に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定された。この中で2010年までに50カ所でのモデル事業の実施を計画しているが、市場経済に環境負荷を含めていくための経済的仕組みには言及していない。

4.「循環社会度」評価の尺度

我々は営業活動において、企業活動の「循環社会度」評価の尺度としてTLCC(Total Lifecycle Cost)という指標を提案している。TLCCは「LCC+環境負荷回復費用」を分母とし、幸福を分子として「循環社会度」を算出する。

<質疑応答> 会場から、日本におけるバイオマス利用の普及の見通しについて質問があり、藤村氏は2020年に向けて取り組みが進むだろうと回答した。また荏原製作所における収入規模は小さいが、人材投入や海外事業に積極的であることが紹介された。

(この講義録は当日の講義内容をもとに京都大学地球環境学舎で作成したものであり、講演者の確認を得たものではありません。)

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