京都大学2005年度特別公開講座(全学共通科目:環境政策論IB)
環境を考える経済人の会21(B-LIFE21)
「地球環境―企業と市民社会の対話と協力―」
第6回 『環境倫理学の現在-持続可能性とは何か、石油のなくなる日』

講師:加藤 尚武 氏
日時:2005.11.17


<講義内容>

1. 持続可能性(サステイナビリティ)とは

(1)ソフト・サステナビリティとハード・サステナビリティ

ハード・サステナビリティは持続可能性を厳しく考え、資源をずっと同じレベルで使おうとするものであり、ソフト・サステナビリティは資源のコストが相対的に低下するなら資源は無限として扱いうるとするもの。

(2)ロックとミルの「持続可能性」概念

ジョン・ロックは所有権について述べる際、「他人にも十分に、そして同じようにたっぷりと残されている場合には」という条件を付けている。またJ.S.ミルは資源の枯渇に人類がいつかは直面し、経済活動の拡張が不可能な状況になると指摘し、その場合の社会制度の変革の可能性に言及している。

実際に、今まで未来世代がより幸福な生活ができると考え工業社会を維持してきたが、現代ではたくさん備蓄が存在する現代世代とゼロの未来世代という問題が顕在化している。

2. 資源の枯渇

P.K.ターナーらの『環境経済学入門』には「(エネルギー資源の)抽出や利用の技術進歩の方がその枯渇よりも急速である」とあるが、「枯渇より急速」という根拠についてふれていない。過去の一時期だけを見てこういわれているのは問題。

3. 地球温暖化問題と非枯渇型資源

(1)地球の未来シナリオ

温暖化防止というのは実現の見込みがないと思っている。温室効果ガス6%の削減では防止できないし、90%削減でも防止できるのか分からない。一番可能性として高いのは石油以外の化石燃料によって工業文明が生き延びて、温暖化自体は防げないが有効な対処をする、ということだろう。

(2)非枯渇型資源

核融合の実用可能性はまだ分からない。生物資源、太陽光発電、風力発電のような再生可能エネルギーは、エネルギー密度が低いので絶対的な限界がある可能性がある。

4. 最後に

人類は石油の使用をやめることを、いつか受け止めなくてはならない。未来世代に対し全く資源を残さないのは、焦土作戦のようなものだ。

<質疑応答> 石炭や太陽・風力、水素発電について、社会科学の立場から自然科学分野を研究することについての質問があった。

(この講義録は当日の講義内容をもとに京都大学地球環境学舎で作成したものであり、講演者の確認を得たものではありません。)

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