京都大学2005年度特別公開講座(全学共通科目:環境政策論IB)
環境を考える経済人の会21(B-LIFE21)
「地球環境―企業と市民社会の対話と協力―」
第5回 『持続可能な社会をめざして-NGOと企業のパートナーシップの可能性-』

講師:すぎ本育生
日時:2005.10.27


<講義内容>

1.  持続可能な社会とは

「持続可能な社会」とは環境・経済・社会的公正の調和のとれた状態を指す。日本では夢物語と捉えられがちだが、デンマークのように経済が成長してもCO2排出量は減らした例など、一国経済において環境と経済成長の両立を実現している国もある。ドイツのエッカーンフェルデという地域では、自転車と公共交通機関を活用して自動車が乗り入れない街を実現させた。また環境・情報関係のベンチャー企業をサポートし、経済的にも活性化している。地域の取り組みが重要であり、環境市民でも「日本の環境首都コンテスト」を実施している。

2. 日本の環境ビジネスへの疑問

日本では再利用よりもリサイクル優先で、大量生産・大量消費というスタイルの解消につながっていない。また自治体の負担が重く、現在の容器包装リサイクル法の改正論議も調整が困難な状況にある。一方で、技術革新に期待しすぎる傾向もある。

3. 企業の環境活動、CSR活動の課題

日本企業は個々の企業内の取り組みには積極的だが、社会システムの変更に対して消極的である。CSR報告書の提出自体は評価するものの、広報活動の域を出ないものも多い。内容の検証可能性の向上を含め、今後は市民社会との対話の手段として改善していくことが必要である。

4. 企業とNPOとの協働:グリーン購入ネットワークの経験から

企業とNPOの協働は、相互の利益が一致する部分で進めていくことが重要である。グリーン購入ネットワーク(Green Purchasing Network)は環境市民や滋賀県の取り組みを契機に設立された、民間主体の取り組みである。日本のモデルとして欧州やアジアで設立が相次いでいる。

5. グリーンコンシューマー活動にもっと関心を

京都市内の全スーパーを訪問調査した成果をまとめて公表したものが、「グリーン購入法」の制定につながった。企業と敵対するのではなく、本質的な努力をしている企業を応援していきたい。プリウスやノンフロン冷蔵庫、省エネラベルの受容に見られるように、消費行動が社会のあり方を変える影響力を持っている。消費者への情報提供には、環境団体や自治体も関わって信頼性を高めることが重要である。

6. 提案

企業は、企業利益と社会的利益を結びきに関して社員の理解を深めるよう努力する必要がある。

<質疑応答>

講演後、京都の公共交通機関(バス、路面電車)やNPOの求人状況、京都市の環境政策の問題について質疑応答が交わされた。

(この講義録は当日の講義内容をもとに京都大学地球環境学舎で作成したものであり、講演者の確認を得たものではありません。)

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