京都大学2005年度特別公開講座(全学共通科目:環境政策論IB)
環境を考える経済人の会21(B-LIFE21)
「地球環境―企業と市民社会の対話と協力―」
第3回「アサヒビールの環境経営」

講師:福地茂雄(アサヒビール株式会社 代表取締役会長兼CEO)
日時:2005.10.20

写真掲載準備中

<講義内容>

1. 判断の基準を変える
現在は変化の時代であり、物事を判断する物差し自体が変わらざるを得ない状況にある。特に重要な判断基準としては次のようなものが挙げられる。
(1)環境対策は「企業の社会的責任」
(2)経験則に頼らない。目標設定・達成状況のチェック。
(3)リーディングスタンダード。得意分野でリードすること。
(4)環境問題におけるスピードの重要性。

2. 環境経営におけるガバナンスの姿勢
 環境対策はトップマターとして企業上層の主導で行わなければならない。また企業として、あくまでもエコロジーとエコノミーを両立していく必要がある。

3. アサヒビールにおける実践事例
 ビールは「自然の恵み」から作られていることを考慮して、環境基本方針・行動指針を設定し、主に以下の取り組みを進めている。
(1)廃棄物処理、省エネ:廃棄物再資源化100%、廃棄物トレースシステムの開発
(2)環境負荷の削減:天然ガス、コジェネレーションの利用によるCO2排出削減、完全ノンフロン化、再生可能エネルギーの開発
(3)水源保全:植林によるFSC(森林認証)、株主参加型の「水の惑星」基金設立
(4)環境配慮型の商品・技術開発、資材調達
(5)環境活動の支援、活動参画:自治体との協力
(6) コンプライアンス:法令遵守、営業部門の環境管理の導入
(7) 海外活動における環境保全:情報収集、日本レベルの対策
(8)情報開示、コミュニケーション:CSRレポート、環境文化講座の開催など

4. むすび
 環境担当の部署やマニュアル、ISO取得などの「かたち」は大事だが、それに「こころ」が込められることが大事である。またCSRは経営そのものであり、敢えて作るものではない。そして何より、高邁な環境理念よりも、まず早く行動することが重要である。

<質疑応答>
 松下教授から、アサヒビールの取り組みがトップの決断と現場の努力に基づく、当時として画期的なものであるとのコメントがあった。またペットボトル容器を使ったビールや水質対策に関する会場からの質問に対し、講師は、ペットボトルビールは行政の回収システムの都合上、当面は商品化を見送ること、アサヒビールの排水処理技術が高水準であることを紹介した。

(この講義録は、当日の講義内容をもとに京都大学地球環境学舎で作成したものであり、講演者の確認を得たものではありません。)

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