京都大学2005年度特別公開講座(全学共通科目:環境政策論IB)
環境を考える経済人の会21(B-LIFE21)
「地球環境―企業と市民社会の対話と協力―」
第1回 『地球限界時代の企業経営 』

講師:三橋規宏(B-LIFE21事務局長、千葉商科大学政策情報学部教授)
日時:2005.10.6


<イントロダクション>
 特別公開講座の開催に当たり、コーディネーターの松下和夫地球環境学堂教授よりイントロダクションが行われた。この講座は京都大学の全学共通科目環境政策論IBであるとともに、「環境を考える経済人の会(B-LIFE21)」の協力による特別公開講座であり、企業経営者、環境NGO、学界の代表による社会の第一線での環境問題への取り組みの講義をもとに、持続可能な社会の形成を考えることが目的である。

<講義内容>

1.B-LIFE21の成り立ち
  B-LIFE21は、(1) 経済人(大企業のトップ)と環境NGO,NPOの対話促進、そして(2)経済人に環境のために汗を流してもらうことを目的として、1996年に設立された。主な活動内容は、環境NGO,NPOの方との朝食会を通じた対話促進(毎月一回)と、経済人自身による大学での寄附講座の開催である。地球環境問題の解決には世代間対話が非常に重要であるため、経済人と学生の間の対話促進にも特に力を入れている。企画を立ち上げた1995年当初は懐疑的な声が多勢だったが、実際に一年間かけて経済人に会い、参加を呼びかけていった。現在では17の大企業経営者が会員になっている。

2.クローズアップされる企業の社会的責任
  企業の社会的責任が注目されている背景には、株主利益の極大化を最優先の命題とする株主モデルの崩壊がある。グローバル化に伴う市場経済の拡大により、企業の社会的影響力が大幅に拡大してきたことから、競争の激化や腐敗、環境問題、市民社会との軋轢などが生じ、モデルの限界が見えてきた。そこで提唱されているのがステークホルダー・モデルの構築である。これは株主、従業員、消費者など利害関係のある様々な人たちに認められない企業は、世の中に認められないこということを示すモデルである。企業は経済的、環境的、社会的側面の三つ(トリプル・ボトムライン)のバランスをとらなければ、21世紀を生き抜いていけないだろう。

3.地球限界時代の経済領域
  現在の地球的な資源利用状況は環境許容限度を超えており、積極的な資源利用が必ずしも社会的満足度の向上にはつながらない。このような状況では、大量生産・消費・廃棄というフロー重視の経済から既存の設備・財(ストック)を有効活用する経済への転換が求められる。また、持続可能な社会の明確なビジョンを設定したバックキャスティングの考え方が必要だろう。最後に、世の中を変えるにはまず自分から取り組みを始めることが重要である。

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