2002年6月18日

2002年度第3回朝食会(通算37回)
講師:赤池学氏(ユニバーサルデザイン総合研究所所長)
テーマ:「地域に密着した分散型エネルギー供給が、環境配慮型社会作りに どういう役割を果たすか」



三橋 みなさん、おはようございます。今日は科学ジャーナリストの赤池学さんをゲストにお迎えしてお話をしていただきたいと思います。赤池さんはもともと筑波大学では生物学を専攻してきたということで、生態システムや、バイオという点にて対して非常に造詣の深い科学技術ジャーナリストです。

 私は赤池さんの本をいくつか読みました。「メルセデス・ベンツに乗るということ」、「温もりの選択」などですが、若手のジャーナリストの中にしっかりものを書ける新人が現れた、という印象を10年近く前に持ちました。そういう印象もあり、赤池さんと会う機会も幾度かあっていろいろ話をしていますと、非常にしっかりしたものの考え方をしている人だということが分かりました。文章書きとしても、非常によく取材をして正確な文章をお書きになっている。現場に足を運んで、徹底的に取材をします。そういう点で言えば、これから期待できる科学ジャーナリストの一人、先頭を切る素質を持った若手ではないかと常々思って注目している人物です。

 今日は「地域に密着した分散型エネルギー供給が、環境配慮型社会作りにどういう役割を果たすか」という内容でお話をいただくわけですが、それと同時に「ユニバーサルデザイン」のそもそもの考え方などについても、お話いただければと思っています。

 だいぶ前から、彼の著書「温もりの選択」という本に、「自動車(業界)の流れとしては、電気自動車よりも燃料電池自動車のほうが市場化が早いのではないか」という問題提起をしていたという点で、私も非常に注目していた人で、そういう問題提起型の本も何冊も書いています。燃料電池自動車の開発については触媒に使うプラチナの問題など、いろいろな問題が残されてはいるわけですが、時代の先を読む問題意識の著書も何冊も書いています。そういう点で、今後いろいろ期待できるジャーナリストだと思います。それではお願い致します。

赤池 おはようございます。今、三橋さんからご紹介いただいたユニバーサルデザイン総合研究所の赤池です。簡単な自己紹介から始めたいと思います。お話があったように、私は大学院まで生物学、特に発生学を学んできました。一方、生まれも育ちも東京都大田区大森ということで、中小企業を中心とした製造業の基盤技術(ものづくりの基盤となるような技術)や熟練技能といったものに、興味を抱き続けてきました。

 私どもの会社自体はシンクタンクです。設立は1996年ですが、後ほどお話します「ユニバーサルデザインをテーマにした製品開発や地域開発のコンサルティングを行う」というのがメインの事業です。1996年の段階からインターネットを活用して、バーチャル・シンクタンクのようなビジネスモデルで活動してきました。現在、国内外の科学者、技術者、デザイナー、アーティスト、ジャーナリスト2,000人程度のネットワークを持っています。その中で約200人の方々に客員研究員の名刺を持っていただきながら、いろいろな企業や自治体の案件を受けて、それにソリューションを提供できるだろうと思えるドリームチームを毎回組織化し、working togetherのスタイルでソリューションを出していくという活動をしています。大企業の技術担当の役員等をご経験されてリタイアされた方々、大学の先生とのネットワークを活かした大学院生の組織によって構成されています。

 先ほど大田区大森出身だという話をしましたが、やはりITが喧伝される中にあっても重要なものづくりの競争力として、大田区に象徴される、あるいは東大阪に象徴される基盤技術の重要性といったことに問題意識を持っています。

 もう一つ、大森という町はアサクサノリの栽培養殖の町として知られていました。子供の頃、毎年冬になると大森海岸一帯に養殖用の海苔ひび(ノリの単胞子を付着させる養殖用器材)がきれいに並んでいた光景を記憶しています。オリンピックに合わせて高速道路の湾岸道路の基盤整備とモノレールの整備のために、補助金を払って一斉廃業になりました。その結果、ゴミの埋立地や工場が移転するための埋立地ができたわけですが、同時に私たちが食べるアサクサノリそのものがもはやアサクサノリではなくなってしまったという状況が起きています。現在、アサクサノリだと思って食べている海苔はスサビノリという、葉体がアサクサノリの4倍程度大きく、非常に効率生産が可能な海苔の種類です。しかもつくっているのは朝鮮半島。最近では中国の養殖海苔を食べるようになっています。

 そういう意味では、アサクサノリに象徴される地域の一次産業と、製造業という二次産業、あるいは廃棄物処理事業を含めた三次産業との循環とをどうつくり込んでいくかということにも、問題意識を持っています。

 本日のテーマであるエネルギーの問題というのは、こうした一次、二次、三次産業をつないでいくデバイスとして、ますますこれから大きな意味を持ってくるのではないか。そうしたときに、たぶんエネルギーの政策はワン・スタンダードなものではなく、やはり地域の独自性といったようなことを意識しながら、分散型になり、場合によってはエネルギーの構成は地域ごとでまちまちになっていくような発展の仕方もあり得るのではないかと思っています。

 今日はOHPを何枚か持ってきましたので、それをベースにお話をしたいと思います。

 まず、ユニバーサルデザインについて申し上げます。アメリカで1990年に福祉法ができ、さまざまなハンディキャップをもつ方々を意識したものづくりや町づくりをしようということで、いわゆるバリアフリーデザインという考え方が提起されました。一言にバリアフリー、あるいは障害者対応と考えても、例えば視覚に障害がある方と四肢に障害がある方においては、全く違います。駅のホームには凹凸のサイン記号があります。目の見えない方にとっては「ここから先はホームから落ちますよ」というサインになるわけですが、松葉杖を使われているお年寄りや車椅子の方にとっては、凹凸のサイン記号が逆にバリアになってしまいます。

 あるいは、お年寄りが住みやすい住宅、入りやすい浴槽といったようなものをご研究されて高齢者対応住宅という商品をつくられたメーカーがあります。確かにお年寄りが非常に入りやすい浴槽設計になっていましたが、「子供が近寄ってきて浴槽に落ちて溺死する可能性もありそうですね」というお話もしたところ、担当者は愕然としておられました。要するに、高齢者、障害者だけを見ていても、その双方が使いやすいものづくりは非常に難しい。そこで、そうやってつくったものが子供に対する安全性や教育性まで意識しているのかどうかということが重要だということで、1991年当時、ノースカロライナ州立大学におられた車椅子に乗った建築家のロナルド・メイスさんが「やはり、バリアフリーということで高齢者、障害者だけを見ていてはだめだ。子供たちも、あるいはあまねく健常者も使いやすいという観点から、もう少し広いフレームでものづくりを考えよう」ということで、ユニバーサルデザインという考え方を提起されました。

 ユニバーサルデザインを分かりやすく整理すれば、一番目がバリアフリー、二番目がエコデザイン、三番目がパワーデザインに総括できると考えています。現在のユニバーサルデザインを住宅に置き換えると、例えば段差がない家をつくろう、照明を明るくしよう、というような取り組みが主に行われているわけです。しかし、そういう問題意識を持ってきた住宅メーカーが何をやってきたか。いわゆる化学建材を多用して高断熱、高気密のペットボトル様式の家をつくってきて、アトピー性皮膚炎、喘息などを含むシックハウス症候群を起こしてしまったのです。「段差をなくす」という工学的発想のユニバーサルデザインだけではなく、エコデザインに象徴されるサイエンス発想に基づいて、空気の環境はどうなのか、化学物質の問題はどうなのか、生物に対する影響はどうなのか、というようなことを考えていくことも、ユニバーサルデザインという「あまねく多くの人に便益を与えるデザイン」のためには重要だということです。

 そうした中で、三つ目のパワーデザインの問題が出てきます。これは後ほどお話する燃料電池を含めたエネルギーデザインに関わっています。同時にこれは私たちの、歩く、自転車に乗るといった、人力そのもののデザインをも内包しています。例えば町づくりについて象徴的なお話をすると、1993年にデンマーク中部のオルフスという人口40万人ほどの町が非常にユニークな再開発の計画を打ち出しました。これは市の中心部4km四方圏から、自動車を一切排除してしまおうという再開発計画です。4km四方圏の環状線だけは従前通りに自動車が入れますが、以前は何車線も走っていた碁盤の目のような車道と歩道の段差を埋めて、歩行者と自転車しか自由に移動できない自転車都市に改造しました。しかも、その改造は1993年に開発計画が打ち出されて、1997年の段階でほぼ8割が自転車都市に変わってしまったという成果を出しています。

 当初はこのような大胆な再開発については地元の経済団体を中心に大反発がありました。ショッピングは自動車に依存していたので、自動車が移動できなくなればものが売れなくなってしまうではないかという危惧があったからです。ところが、自転車都市に変えたら逆にものが3割ほど多く売れるようになりました。自動車を用いたショッピングは量販店やロードサイド店の売上げには寄与していたのですが、逆に古くからある商店街の売上げにはマイナス面として働いてきました。しかし、自転車都市に変わったらお店に滞留する時間が増えてものが売れる。さらに、路地裏には風俗店が出ていて非常にさびれた様子だったのですが、自転車都市に変えたらそこにアンテナショップやブティックが多く出店してきて、町そのものが活性化してきた。そうした地区の成果を受けて、次々に導入する地区がでてきて、わずか3年間でコペンハーゲンに次ぐ第二の都市のオルフスの中心4H四方圏外縁から自動車がいなくなってしまいました。もう一度、人間の歩行、自転車にフォーカスをあてた町づくりはデンマークに限らず、アメリカの西海岸のビレッジホームなども同じような考え方で、そうした新しいパワーデザインに基づく町づくりも増え始めているということなのです。

 以下がユニバーサルデザインを提唱したロナルド・メイスさんの有名な「七つの原則」です。

 1.誰でも公平に使用できる。2.使う上での自由度が高い。3.直感的にわかる使用方法が確立されている。4.必要な情報がすぐに理解できる。5.うっかりで危険につながらない。6.無理な姿勢や強い力なしで楽に使用できる。7.アプローチが利用しやすい寸法空間になっている。

 お亡くなりになられたロナルド・メイスさんとご生前何度かお会いする機会があり、そこでは先ほど申し上げたエコデザインの考え方が重要だということをずっとお話されていました。現在、ユニバーサルデザインというのは日本語で「共に用いる品を開発する。共用品開発」と訳されています。そうであるならば、今生きている私たちだけではなく、まだ見ぬ未来の子孫たちとも共用していくようなものづくりが重要なのだということを、たぶんロナルド・メイスさんはおっしゃりたかったのではないかと思っています。

 そういう観点から、いろいろな企業とユニバーサルデザインのガイドラインづくりや具体的な製品開発のコンサルティングをやってきたのですが、そのとき私どもが提案する10の精査軸が以下の項目です。

1.セーフティ
2.アクセシビティ
3.ユーザビリティ
4.ホスピタリティ
5.アフォーダビィティ
6.サステナビリティ
7.エキスパンダビリティ
8.パーティシペーション
9.エステティック
10.ジャパンバリュー

 まず、1.安全につくっていく。そして2.接しやすくつくっていく。あるいは3.使い勝手良くつくっていく。4.は慰安性のデザインと呼んでいるのですが、これは非常にわかりやすい例を言うと、従来、金属でできていたような部品を例えば環境性の高い樹脂に換えてあげる。そうすると触感の面でも感覚面でも、ある種の慰安をユーザーに提供できる。例えばそういうつくり込みを行おうということです。

 5.が価格妥当性のデザインです。これはコストの面からも接しやすいものづくりを思考していこうという考え方です。例を挙げると、JRの階段に障害者対応のリフトが付いています。駅員さんが組み立てて上るまでの数分間、障害者の方は待ちながら、なおかつみんなの目にさらされながら上っていく。一方、スウェーデンの場合は人を呼ぶためのボタンは付いていますが、普通の地下鉄の階段に車椅子の車幅に合わせた線路がただ打ち付けてあるだけです。もちろん一人では上れません。スウェーデンのバリアフリーデザインの場合は、「誰かが介助してくれる」ということを前提にして考えられています。日本のリフトと線路を比較すれば当然線路のほうがコスト的には非常に安い。これに類した考え方で製品開発を考えていくというのが、価格妥当性のデザインという考え方です。

 6.持続可能性のデザイン。先ほど来お話しているエコデザインを考えていこうという考え方です。

 7.拡張性のデザインという考え方。一番身近な例で言うと、今いろいろな大手のハウスメーカーがさまざまなご研究を背景に高齢者対応の家をつくっておられます。具体的に言うと、階段やトイレの周辺に、住人が障害をもったことを想定して手すりなどがあらかじめ付けられているような状態です。しかし、障害というのはいつ何時どのようなかたちで襲ってくるのかわからない。家族の中にそういう障害者が突然発生してしまったら、その人のためにユーザー(家族)自らが手すりを付けたいという状況が発生するのです。ところが自分で手すりを付けようとすると、壁が裏抜けして手すりが付けられない。例えば裏板を1枚付けてもらえるだけで、生活者であるユーザー自身が家に対して参画をしていくようなことができる。そういうことをあらかじめ設計してあげるのが、拡張性のデザインという考え方です。

 これをエネルギーに置き換えてみると、例えば大手住宅メーカーが太陽光発電のセルを付けてゼロエネルギー住宅のような呼称で販売しています。こうした自然エネルギーを住宅に取り込むということは非常に正しい選択だと思われます。しかし、ここで考えなければいけないのは、住宅というのは過去のように20年で陳腐化してしまうようなものはつくってはならない。30年、40年、50年、80年、できれば100年のスパンで、家という製品はつくられなければならない。であるのならば、先ほど三橋さんがお話されたようなプラチナを含めた触媒のリサイクルのシステム、あるいはプラチナに変わる代替触媒の開発など課題は多いわけですが、2010年、2015年くらいで自動車メーカーがあるレベルの燃料電池自動車を量産していく。高効率でコスト的にも接しやすい燃料電池のシステムができてくる。これは当然、住宅のほうにも飛び火してくるはずです。現在の固体高分子型の燃料電池は、みなさんすでにご存知のように発電できるだけではなく、熱エネルギーが発生してきます。具体的には60〜70℃程度の温水というかたちで出てくるのですが、これは住宅に取り入れると、そのまま給湯や入浴に使うことができる。燃料電池住宅が普及してくると、露天風呂のあるような暮らしが合理的なコストで営めるようになっていくかもしれません。

 つまり、現時点で太陽光を取り入れていく選択は重要なのですが、10年先、15年先に燃料電池が電気もつくる給湯器のようなかたちが普及してくるなら、今からつくる家も10年先、15年先に燃料電池をキャッチアップできるように、今の段階からつくり込んでいかなければいけない。例えば、ガスの床暖房を含めてガス系基盤を意識して、家の中に今の段階から設計をしてつくり込んでいく。そうしたことをきちんと生活者に、その意味を教えながら住宅をつくり販売をしていくような取り組みがメリットを生み出すかもしれない。これが拡張性のデザインという考え方です。

 8.は先ほど手すりのお話をしましたが、やはりユ−ザー自身がこうしたものづくりや、あるいは製品が出来上がった後にさまざまな意味で参画をしていくようなデザインを、あらかじめしようではないかということです。

 9.は審美性のデザインです。エコであり、バリアフリーであることも重要だけれども、やはり美しくなければいけない。しかし、意匠性の美しさだけではいけません。例えば、ある製品が結果としてユ−ザーに対して正のフィードバックを送るということを、審美性のデザインの中に位置づけています。わかりやすいのは箸です。この2本の木の棒でしかない製品は、子供たちや使ったことのない外国人に渡しただけでは、ただの棒なのです。しかし、一定の時間習熟すると米粒もつまめるようになるし、肉や魚も切れるようになります。この2本の木の棒は習熟を経由して、その本人(ユーザー)の、ある種の人間力を開発してあげているのです。こういう可能性も、一つの美のかたちだと思っています。ある製品を供給したときに、その製品と接し合うことによってある種の能力が開発されていく。住宅に置き換えると、軽度の障害者の方には住宅用エレベーターが必要なのではなく、日常の階段昇降を通じて足腰を鍛えさせてあげるという観点で、家の階段などを考えるといったデザインの考え方です。

 10.のジャパンバリューですが、いろいろなユニバーサルデザインの製品開発をした最後の最後に導入するのが、日本的価値のデザインという考え方です。ユニバーサルデザインというと、ともすれば「グローバルスタンダードをつくるものづくり運動」のように誤解されるのですが、実は全く違います。住宅もやはり、それぞれの地域風土に合わせてつくられるべきです。日本人にとって使いやすいものづくりを考えたときにも、実はそこに日本のさまざまな歴史、文化、伝統、あるいは日本ならではの環境といったものがきちんと織り込まれているかどうかということを考えてあげなければ、日本人にとってユニバーサルなものはできないだろうということです。

 これは今日のテーマとは違いますが、日本的価値というところにフォーカスしながら、いくつかのユニバーサルな製品開発をやってきました。例えば、日本語の50音の「あかさたな はまやらわ」に対応させた日本語入力端末を、すでにかたちにしています。「あかさたな はまやらわ」に対応すると、基本的には10個のテンキーだけで日本語の入力ができます。あるいは、Mデンソーもすでに製品にしていますが、日本人が使う漢字を、フォントの構造をいろいろなピクセルの構造と合わせて、わかりやすい漢字のデザインなどをやっていく製品開発もあり得るのです。こうしたものを上手く企むと、略字ですが同じ漢字文化をもつ中国の市場に対しても、こうしたIT用の漢字フォントデザインは市場性を持ってくるのではないかと思っています。

 さて、すでに燃料電池や分散型エネルギー社会については何度も議論されているのではないかと思いますので、違った観点からエネルギーの問題、あるいは分散型社会の可能性についてお話をさせていただきたいと思います。

 私は現在、エコリビング推進認証協議会という特定非営利活動法人(NPO)の理事長もしています。昨年3月に内閣府からNPO法人格を取得しました。これは、エコリビングに象徴される健康・環境に資する建材、住宅、あるいは工法、住設備、あるいはそうしたものをかたちにしていくメーカーやハウスビルダーの方々を、独自の評価、認証基準をつくって情報公開していこうということを一つの事業として活動しているNPOです。建材については、2002年7月からインターネットを通じて情報公開を始めます。

 今の大手住宅メーカーも、ホルムアルデヒドなどの規制値をきちんと守っている。ところが、それでシックハウス問題が解決したわけではなく、いまだ規制値が定められていないいろいろな揮発性の有機化合物がある。もしかすると長期被爆をしていると癌になってしまうかもしれない化学物質が放置されたままです。2.5人に1人の子供が喘息やアトピーで悩んでいるこのシックハウスの問題を、多くの生活者も知ることになってしまった今、その次のフェーズが必要だと考えているわけです。

 インターネットを通じてアクセスをしてくれれば、例えばホルムアルデヒドを出す化学クロス(壁紙)ではなく、例えば和紙の壁紙があるではないか。山形県は絹シートの壁紙を低コストで開発しているではないか。あるいは無垢の木の上にミツロウや植物系のワックスを塗るといった製品が出ているではないか。断熱材も秋田のメーカーは林業者の廃棄物を利用した木質系の断熱材を持っているではないか。あるいは有機リン系の農薬を畑に撒く量の十数倍量染み込ませた防虫畳ではなく、滋賀県のメーカーはヒノキの廃材を藁床代わりにした、天然の防虫作用でダニもカビも付かないヒノキの健康畳をつくっているではないか。こういう情報をこれからのお施主さんたちはインターネットを通じて自ら入手し、工務店やメーカーと丁々発止で家をつくっていくような状況をデバイスしてあげようというのがこの活動の一つです。

 もう一つは、情報公開だけではなく、具体的に健康・環境に資する建材や、工法、商品の開発といったことに着手しています。一例を申し上げますと、熊本県の阿蘇にある小国町という地面の8割がスギ林という自治体がありますが、そこと一緒につくっている健康環境住宅のポンチ絵をご覧いただきましょう。今月から、消費地である博多に私どもがプロデュースした「小国スタンダード」の健康環境住宅がを施工しています。どういう発想でつくられているかというと、地元の小国スギを可能な限り使ってあげるという観点から、住民の半分が、いわゆる木造軸組みの住宅になっています。

 もう一つは、小国町だけではないのですが、西日本には蔵づくりの文化がずっと根付いていました。先ほどお話した日本的価値のデザインもそうですが、やはり小国町に残る蔵文化を活かしてあげようということで、木造軸組みと土蔵づくりのハイブリッドの健康環境住宅を設計しました。土蔵というのは木や竹や麻ひもをつくって基材を組み合わせて、その上に土を上塗りしてつくっていきます。構造自体が柔構造ですので、高い耐震性があるということは科学的に裏付けられています。あるいは断熱性も非常に高い。夏の暑いときに蔵の中に入るとひんやりするのはそのためです。同時に水蒸気の出し入れをしてくれるという非常に調湿性の高い工法でもあります。そして、さらにこういう採光を戦略的に取り込んであげると畜熱体になります。阿蘇の辺りなら、冬の間はほとんど暖房を使わないでも暮らせる住宅になるのではないかと自負しています。

 しかし、蔵づくりというのは半年ほど工期がかかります。であるのなら土の建材の機能性を保持したかたちの簡式の土壁パネルを東京大学や、類似した製品をすでに開発しているドイツや北欧のメーカーと情報交流しながら、その開発にも取り組んでいます。あるいは先ほどのポンチ絵の中で屋上緑化がありましたが、このような緑化を屋根に施してあげることで涼やかさ、あるいは体感温度ということを含めて、省エネ化を図ることもできる。

 建材を知的に組み合わせていく、あるいは通風や換気といったようなものを考えていくと、従来、高断熱、高気密と呼ばれた壁の中に防湿フィルムと気密パッキンを充填して、ペットボトルのような家で、内部で冷暖房をかけるというようなスタイルではなく、ハイタッチなやり方かもしれませんが、そういう新しい発想の省エネ住宅といったものが、地域の特質性に合わせて設計が可能になってくるのではないか。こういう問題意識と合わせて、生活のベースとなるエネルギーをどう考えていくのかということが、これからの時代の議論なのではないかと思っています。

 さらにこういう建材や、シックハウスを起こさない国産木材を利用した住宅のモデルをつくることも重要なのですが、そうしたものが問題意識を持ったビルダーに届かなければいけないという問題意識から、日本の林業地域に地域の木材、自然建材の納材hubの機能を兼ねたテーマパークの建設も進めています。第1号がこの4月に福島にできたのですが、同種のものを、青森県、長野県、静岡県、そして和歌山県につくっていきます。これは今申し上げましたように木材の流通hubであると同時に、そこにつくり込んだモデルハウスや並べている建材を含めて、どうやって健康住宅をつくればいいのかということを、生活者やビルダーに教えていく機能を持ったテーマパークでもあるのです。

 東京ガスから「50プラスの元気な住まい」というキーワードをいただいてsustainableで、なおかつバリアフリーなモデルハウスもつくりました。Sustainableというのはエコデザイン、「庄助さん」というのは小原庄助さんです。朝寝、朝酒、朝風呂の大好きなライフスタイルを持った生活者(庄助さん)が、環境のことを考えて家をつくったらどんな家になるのかというのを、新宿の東京ガスショールームの中に建てさせていただきました。ここには国内で調達可能なさまざまな木材、あるいは竹の集成材、あるいは和紙の壁紙、そうしたものをさまざまに使っています。ここにはネズコのクロヒノキの露天風呂があり、その横には日本ミツバチの巣箱も置いてあります。これは西洋ミツバチの養蜂と違います。伝統的な日本ミツバチを用いた養蜂というのは、小さな木の花からも蜜を集めてくるので、西洋ミツバチとは逆に街路樹のたくさん植わっている東京のようなところで養蜂が成立するのです。新しい都市生活者に対する養蜂というホビー提案でもあるのですが、ご存知のように蜂蜜を取るために絞り終わった残りカスはミツロウになりますので、このショールームの家の木材は全部ミツロウで仕上げてあるという物語がこの家にはつくり込まれています。

 さらに強調したいのは、表面はクロヒノキ、あるいは国産木材でつくられている家なのですが、実は裏側に隠れているのは燃料電池のコージェネレーションシステムです。屋上開閉式の露天風呂になるように設計してあるのですが、こういうヒノキの露天風呂に暮らせるのも、実は裏側にある燃料電池のシステムがアシストしているからです。

 そして、家づくりは学校教育などとも密につながってきます。

 今年の4月から本格的に始まりました小・中、一部高校の「総合的な学習の時間」では、教科横断型の科学教育、環境教育を年間70時間教えなければいけない。やはり東京電力などもこの総合学習のためのエネルギー環境教育のカリキュラムをすでにおつくりになられているように、今私どもNPOが働きかけているのは良質な住宅をつくっておられるメーカー方に対して、こうした総合教育の枠を通じた家づくりの総合学習プログラムの開発です。

 例えば、昨年から積水化学工業と始めたのですが、セキスイハイムのスケール模型を知り合いの金型屋を紹介してつくりました。中学校の生徒たちに教室で模型を組み立てながら「家はどういうふうにつくっていくのか」、あるいは「家をつくりながらユニバーサルデザインをどう考えていくのか」、「コンセントの向こう側のエネルギーデザインをいかに発想するのか」、「蛇口の向こう側の水資源の問題はこれからどういう意味を持っているのか」を考える教材となっています。そうしたことと合わせて、中学校教科書にも燃料電池の記述が出てきますので、住宅展示場のモデルハウスを校外教室としながら、そうしたエネルギーや環境住宅の問題を教えていく。積水化学に限らず地場のメーカーを含めて、同種の動きが出てくるのではないかと思っています。

 ここで、経済産業省の考えている今年の予算付けのための技術開発の領域マップをご覧ください。ご存知のように半導体、医療・健康に資する複合化機器の開発、そして化学物質のいろいろな評価、改善技術、そして循環型社会時代の新しい産業システム、これが昨年から重点化された4領域なのですが、この燃料電池も含めたエネルギー系のプログラムというのは、いまだ重点4分野からこぼれているのです。私も産業構造審議会の委員で、こっちもきちんと重点化しなければいけないと提起してきました。先ほどプラチナの話がありましたが、それに替わる代替触媒や、CO被害を解決する技術開発には、国がきちんとお金を付けて助成すべきだと話しているのですが、まだまださまざまなレベルの綱引きがあるのか、重点化してくれないという問題があります。

 燃料電池は、たぶんモバイル系の製品の中にまずは搭載されていって、自動車メーカーはガソリンと燃料電池のハイブリッド車の可能性なども含めて、普及していくはずです。

 その先の可能性なのですが、燃料電池は電解膜を重ねることで電気をつむぎ出していく技術。これは従来のメカトロ型の発電ではなく、バイオケミカルな発電システムであるということから、生体に対する適合性があります。すでに北米燃料電池開発センターでは、心臓ペースメーカー用の超小型燃料電池や、医療用マイクロロボットに搭載される超・超小型の燃料電池の研究なども行われています。

 もう一つの可能性が、地域開発における燃料電池を含めた新しいエネルギー基盤の開発です。私どもが1998年から調査と開発を行っている小笠原の事例ですが、小笠原地域の資源をまさに三橋さんがご提起されたゼロエミッションの考え方で、利用し尽くす10ヵ年の開発構想をつくっています。例えば、海水から製塩を兼ねて淡水をつくっていく。その水で水耕栽培を行っていく。実はこの辺のシステムは荏原製作所にご協力をいただいているのですが、新しい環境技術で亜熱帯にある植物や、アメリカ人が置き捨てていたコーヒー、そうしたものを知的に利活用し、地域ビジネスにしていく。そうしたものを支えるエネルギーシステムとして、島嶼域で日本で初めて燃料電池を入れませんかというようなことを、東京ガスともご相談させていただきながら開発構想を進めています。

 小笠原はすでにクリーンセンターという、島嶼では最先端の廃棄物処理システムを持っています。このクリーンセンターと、すでにあるし尿センターをメタン発酵の技術を導入しながら燃料電池につないでいく。こうしたシステムの実証が、今期の研究事業の中に盛り込まれています。

 これからはたぶん、こうした自治体と組みながら分散型のエネルギーとか、燃料電池の可能性のようなものを図っていくような取り組みが非常に重要になってくるのではないか。あるいは、こちらの「環境を考える経済人の会21」という先進的な企業トップの方が集まられたプラットホームの中に、今後戦略的に先端的な事業に取り組んでおられる首長などをどんどん呼び込みながら、各社の良質なエコ技術で地域開発を形にするオルタナティブを、この会から創発していくようなことも求められているのではないかと思っています。

 愛知県が進めている「プロトアイランド構想」もあります。プロトとはプラスのイオンで、燃料電池の象徴です。燃料電池の研究アイランドを志向し、「エネルギーのシリコンバレー」を愛知県・常滑を舞台につくっていこうという次世代型のテクノパーク構想です。これはAとBの二つのモデル地域に別れていて、モデルAのほうはさまざまな電解質タイプの燃料電池の実用化研究を行っていく。合わせて燃料電池につないでいく水素媒体の燃料研究をしていくという取り組みです。これは構想の段階から私どもの会社がいろいろとお手伝いをしているのですが、愛知県ですので地場の中小製造業の活性化、高度化のプログラムをこれに寄り添わせています。燃料電池及び関連の仕組みについては、町工場のいろいろな技術が絡みやすい領域です。そうしたところに中小の技術がわかるベンチャーキャピタルの仕組みなども合わせて導入しながら、大企業も、そして中小企業も絡めるかたちの研究拠点をつくっていく。同時に、モデルBの方は、Aのいろいろな実証の成果といったものを町づくりに転換していく。それをきちんと社会評価をしていこうではないかという考え方です。こちらについてもエリアごとに日本の燃料電池関連の企業にそのフィールドをお渡しして、その中で各社ごとのエネルギー関連の技術で町づくりを行って下さい、というようなビジネスモデルで進めています。

 経済産業省も、このプロトアイランド構想に注目し始めていただいたのですが、これからは同種の地域の中の分散型エネルギーを含めた新しい開発モデルなどに、国がある種のモデル特区のようなかたちで支援する政策などが求められるのではないかと思っています。

 次はトヨタが今後町づくりや再開発などを行っていくときに、その資産を仮想的に活かすとどういう方向性があるのかということを、実験研究会で検討した際のシートの一つです。豊田市にある「トヨタの森」計画などは当然町づくりに反映できますし、ITSの技術、アグリ、バイオの研究を活かしたウォーカブルな町づくりができるのではないか。例えば「アグリロード」という言葉がありますが、道脇に果樹園や菜園が並ぶ道路計画もつくっていける。町にはアンテナショップやアンテナレストランや、アンテナ住宅が必要なわけで、燃料電池のコージェネレーションを含めた住宅のパッケージもできる。そういう中で、トヨタ生協に象徴される良質な食やエコリビングのネットワークのようなものを活用しながら、新しい再開発エリアに次世代型のバザールをつくり込んでいく。こうしたことが可能です。

 あるいは中間人口の確保のためには教育の基盤がいる。ならば、ものづくりの熟練技能だけをきっちり教えてしまうような学校、例えば3年間で国家1級免許クラスの技が2領域に渡って取れるような、こてこての製造業教育を行うような学校などをつくり込むような町づくりが求められているのではないかと思っています。

 このような町づくりを、今度は生活者サイドから見つめ直しててみます。一例ですがアメリカで今、「COLOR ME MINE」と呼ばれるフランチャイズのお店が、3年間で約300店舗に急展開しました。何をやるお店かというと、お店に行くと素焼きのお皿や壺が並んでいて、お客さんが置かれている絵の具で素焼きの器に絵を描いてお預けする。そうすると電気炉やガス炉で焼き上げてくれて、翌日焼きあがった器を生活者が取りに行くというお店です。いわゆる日本の陶芸の里でどこでもやっている楽焼きの仕組みを店舗化したものなのですが、これからは、楽焼きを観光のついでに焼いて帰ってくるのではなく、この「COLOR ME MINE」がアメリカで成功しているように、都市生活者に対してエコロジカルな陶磁器、あるいは自らが生活のために日常使いできる製品を自らつくらせるという、まさにマイプロダクトとしての製品の提案が、ビジネスとしても説得力を持ってくるのではないでしょうか。

 そして、ガス炉とか電気炉というお話をしましたが、これからは地域のガス事業者、あるいは電力事業者がマイクロな新規事業というかたちで地域の中で実験店舗をつくっていく。こうした取り組みが生活者に支持される時代になってきているように思います。

 あるいは、小笠原の父島ではトヨタ自動車の力を借りたエコロジカルな交通システムの基盤整備といったものを考えています。それに対して母島は、「パイプEV」をとりあえず20台導入して、観光用の島の足として稼動させようという構想が進んでいます。この「パイプEV」をつくったのは電気自動車研究会というNPOです。自動車メーカーや自動車の部品をつくっておられる町工場の技術者の方々がつくられたNPOですが、そこが開発されたのが、自転車のパイプフレームを利用した電気自動車です。値段は20万円で、製造物責任の問題があるので組み立てたものの販売はせず、いわゆる模型のようにキット販売のかたちでの販売を計画されています。

 私はこのパイプEVがチャーミングだと思うのは、実はスピードがわずかに20kmしか出ないというところです。これからのエコロジカルな、あるコミュニティや観光地、あるいは島のようなところでは逆に20世紀型の高速交通ではなく、低速交通体系のような提案がたぶん地域の生活者、自治体に対しても説得力を持ってくるようなシーンがさまざまにあるのではないかと思っています。現在、小笠原のアカギという木を伐木しなければいけないという関連から、木材でこのパイプEVに演出をかけていく。

 あるいは佐渡島のゼロエミッション開発もお手伝いしていて、佐渡といえば竹が余っているので竹の演出をかけたパイプEVのようなものをエコロジカルな島嶼のエリアに導入していくといったようなことを考えています。当然、電気自動車ですので、エネルギーをどうやってもってくるのかが課題になる既存電源、あるいは燃料電池、あるいは畜産廃棄物や生ゴミをメタン発酵させて、そこからバイオガスを取り出して、マイクロガスタービンで燃料電池を稼動させていく。同時にメタン発酵装置からも、まだまだ窒素、リン、カリウムを含む廃液が出てくるので、そういうものを濃縮化して液肥として利用する水耕栽培につなげていく。特に、小笠原のような火山島では葉菜類の栽培は全くできないので、エネルギーもつくりながら水耕栽培のシステムで島の中ででも葉物がつくれる、あるいは島ではつくれなかった別の作物をつくっていく、という取り組みが求められてきているのです。

 今まさに関わっている青森の総合バイオマス利活用構想もあります。バイオマスを利用するというと、ファインケミカル生産に力点を置いてしまいがちです。林業系のバイオマスから、さまざまな精油成分や、リグニンのような物質抽出、あるいは創薬に活かしていこうという取り組みがメインなのですが、実はこのバイオマスというのは生物系の廃棄物資源だけではなく、すべからく生物資源のことをいう言葉ですので、前段でお話したバイオマスからまずはエネルギーもコストもかけずに現状のいろいろな住宅産業、木材業者の高度化を含めてファインビルディングをまずつくっていこうではないか。あるいはそこに循環型のリサイクルの仕組みを入れて、ファインフードをつくっていこうではないか、いうようなところから、LCAの考え方でコストのかからない領域から事業化を行い、最後の最後に、ファインケミカルズを意識したバイオマスの計画に落とし込んであげるような計画設計をしているのです。そして機能性物質をバイオマスから取り出していくためには、エネルギーの問題が絡んでくるわけです。

 青森の場合は原発関連の基盤が全部揃っている。であるのならば、こうしたバイオマスを利活用するためのエネルギーの地域としても、両方のシナジーを考えていこうということです。当然、原子力発電の廃熱が出てくるわけで、例えばこの熱エネルギーを利用して青森の豊富にある水を、たとえば熱分解をして水素を取り出し、エネルギーを生み出す。こういうプラントを分散型の考え方でフィールドテクノパーク構想として位置づける。バイオマスを使うためには、従来のようにどこか1ヵ所に集積したテクノパークではなく、自治体の中にそれぞれ違ったミッション、違った一次産業者と企業が参画した分散型のテクノパークをつくりながら、そこでさまざまなゼロエミッションや新しいエネルギーの実験などをやっていこうではないかという取り組みです。

 もう一つは、これからの町づくりです。これからは新しい分散型エネルギーまでを取り込んだ新発想の開発分譲が、たぶんさまざまに台頭してくるのではないかと思っています。

 積水化学工業は高崎でハーモネートタウンという分譲を行いました。どういう分譲かというと、自分たちの庭や建物という所有スペースを、従前よりもずっと小さくし、その分、共用部の基盤整備にコストをかけて開発した分譲なのですが、即日完売になりました。そして今、その先の開発構想を検討しています。例えば道路についてはクルドサック型と呼ばれる見通しの利かないカーブをつくって、袋小路はなくしますが、遊歩道は歩行者も高齢者も歩けるユニバーサルにしていく。あるいはビオトープや親水公園、小川、透水性の地盤、そして中枢道を利用する地下の中の水循環の仕組みをきちんとつくり込んでいく。街路樹についても食べられる街路樹で整備し、市民農園のようなものをコミュニティの中に必ず入れていく。あるいは燃料電池の仕組みを含めた新しいエコシステムをあらかじめ基盤の中に整備する。こういう住宅が売れるや否やということを、約600人のモニタリング調査で確認もしています。

 今後こういう町づくりが実験的にいろいろなエリアで出てくると思います。そのときに重要なのは、先ほど来NPOの話をしていますが、こうした新しい新発想のコミュニティに対して、これからはデベロッパーや住宅メーカーがこうしたエココミュニティを維持させるためのソフトシステムとして、町づくり条例とか、町づくりNPOのようなシステムをパッケージとして持ちながら開発も進めていくような取り組みが私はビジネスになってくるのではないかと思っています。

 こういう新しいNPOは、これまでのような自然を守ろうといった運動提言型のNPOではなく、事業を行うNPOです。さらに事業系のNPOの中でも研究開発力を持っている、技術開発力を持っている、製品開発力を持っている研究開発型の科学技術NPOを、文部科学省と経済産業省はこれから認知と支援を行っていくはずです。科学技術NPOは、これからエコの問題、あるいはエネルギーの問題を含めて技術がわかる人間、科学がわかる人間、そうしたものが結集しながら公益に資する技術開発や、基盤開発をやっていくNPOです。

 そうしたものの一つとして、ウェアラブル・環境情報ネット推進機構(通称WINの会)があります。これは東京大学のIT系の工学の先生と環境工学の先生がおつくりになられたNPOです。これからは、地域の分散型エネルギーを地域開発においてどのように利活用していくかを具体的に考える科学技術NPOが望まれている。そこに、リタイアした大手企業の技術系の人間、環境のマネジメントができる人間、あるいは地場の行政者、あるいは地場の一次産業者や廃棄物処理事業者が理事として参画し、地域におけるエネルギーを含めた新しい基盤開発についてオルタナティブを打ち出していく。すでに霞ヶ浦のアサザ基金のようなNPOは、ショベルカーを持って国土交通省と県からお金をもらって周辺の環境保全をしている。いわば重機を持った科学技術NPOのようなものもすでに出始めています。いずれにしても、これからの地域開発やユニバーサルデザインなど、地域におけるエコデザインのための合理的な産官学連携のシステム、あるいはそれをファシリテイトとしていく装置づくりのようなものが、NPOを含めて求められているのではないかと思っています。

 「人道目的のための地雷除去支援の会」という科学技術NPOもあります。大田区大森のジオサーチの冨田さんは、道路の下の穴を探す技術で「マイン・アイ」をおつくりになられて樹脂製の地雷を探索しています。このために炎天下でも見える液晶のディスプレーといったものをシャープの技術者が開発していく。あるいは地図もないのでソニーの技術者が衛星とつないだ地雷地帯のデジタルマップの仕組みをつくっていく。あるいはトヨタ自動車やホンダがこうした道なき道を行くための交通手段、水陸両用の医療診断装置を搭載した特殊改造車両をつくってこういうNPOにつないでいく。これに類したインターミディアリ、プラットホームとしての科学技術NPOが、これからさまざまに台頭してくるのではないかと思っています。

 こうした状況ですので、大企業の中でもなかなか新規事業として反映できない技術的な知見が存在するのではないかと思います。例えばそうしたものを戦略的にプロデュースし、支援した技術NPOの中に預けてしまう。そして、このNPOの中にもう一つ預けるべきものがシニアの人材です。リストラということで首を切ってしまうのではなく、そういう能力を持った人間たちをチャーミングな科学技術NPOに技術と合わせてお預けをする。そしてそのNPOの中で、その眠れる技術がきちんとビジネスになるのかどうかというテストマーケティングとか、フィージビリティ・スタディなどを戦略的に技術NPOの中で担わせて、ビジネスになるのであれば本体が取り返してしまうような取り組みさえもこの科学技術NPOは可能なのです。同時に、そこに地域の町工場のリタイアをした方々とか、さまざまな組織のキーパーソンが入ってくると、製造業のものづくり教育といったようなものがこれからの課題だということであれば、ここから技術者が派遣されていって工業高校や高専、あるいは、ものづくりを十分に教えられない日本の大学の工学部の学生や院生を指導していくような、さまざまなマルチな活動を行う組織が求められているのではないかと思います。

 最後は産業構造審議会に提案したいくつかの提案の一つなのですが、昨年、国際自然保護連名が世界中の国の健全性を評価しました。これは例えば自国の固有資源を使っているか、エネルギーや製造業の原材料を他国に頼りすぎていないか、ということを評価したランキングです。1位がスウェーデンで米国が24位で日本は14位です。いずれにしても、そろそろ21世紀の産業を考えたときに、先ほどの燃料電池のプラチナを含めて、こうした海外依存の問題といったものをどう考えていくのか。そろそろ持続性という観点から、次世代の技術開発ビジョンなども精査すべきなのではないかと考えています。

 二点目が、国際競争力開発はこれからも必要条件としてやらなければいけないのですが、そろそろアジアの経済圏といったことも意識した上での、戦略的な国際共同力開発のようなことにいろいろな分野で取り組むべきだと思っています。プラチナも、私が4年間調査取材を行ってきた中国・西北地区南部の青海(チンハイ)省の地面の中には相当量のプラチナがあります。こうしたところと、例えば日本が国際共同的なプロジェクトをやっていく。あるいは、燃料電池の水素の媒体ということになると、やはりロシアの天然ガスと手を握っていかなければいけない。ヨーロッパもアメリカも数百万kmに及ぶパイプラインのネットワークといったものを、原発や石油の基盤とは別に持っています。日本はただの1mも存在しません。であるならば、日本の東北、青森や北海道がパイプラインでロシアとつながってしまえという提案を行ってきました。もちろんそうした取り組みをアメリカが「それはいいことだ」と言ってくれるようには思えないのですが、そういう状況を意識した上で、例えば青森は、県内のガスのパイプラインのネットワークの基盤整備を、まさに拡張性のデザインの観点から今からきちんと事業化をして進めていきましょう、という提案を行っています。そういう意味では中国とつないだり、ロシアとつないでいくようなエネルギーのいろいろな政策作りなども求められていると思います。

 もう一つは、日本の中にある資源を使っていくような技術研究といったことが、非常に重要ではないかと思っています。

 本日は指導力のある日本企業のキーマンの方々が集まっておられます。是非、皆様にこれまで延べてきた中小企業の救済策をいろいろと考えてもらいたいと思っています。昨年もTLOの問題も含めて経済産業省が大学ベンチャー1000社構想というものに予算付けをしています。それをもちろん否定するわけではないのですが、みなさんご存知のように突出した基盤技術や熟練技能を持っていて、すでに大手企業の下請けの中でナショナルプロジェクトを手伝っていたような中小企業は、多く存在するのです。そうした中小企業を特定して、それらをある種のベンチャーシンボル化するような取り組みを、そろそろ国も大企業も考えていくべきではないでしょうか。今日のテーマであるエネルギーの問題からだいぶ外れてしまったような気もするのですが、何かご現業のヒントになればうれしく思います。本日はご静聴ありがとうございました。

三橋 今いろいろな新鮮な問題意識、提案があったと思いますが、ご質問があれば自由にどうぞ。

永岡 地域とこれからの分散型燃料電池の絡みの中で、地方分権とか地方の自立という言い方をしますが、その中でいわゆるエネルギーなり燃料電池の果たす役割のようなもの、その辺のヒントのようなものをご示唆願えないでしょうか。

赤池 青森県が象徴的だと思うのですが、やはり原子力発電もコストと時間をかけてつくってきたものなので、これはきちんと使い尽くしたり、「用尽」の発想で利活用していく。さらにはきちんとリパワーリングを考えていただいて、廃熱の有効利用で水の熱分解、化学分解で水素を取り出し、燃料電池につないでほしい。そして、これから重要なことは、原発をそうやって安楽死の時代まで使い尽くしてはいくのですが、新規建設については現状で想定している計画を縮小しながら、それに代わる基盤としてこういう燃料電池、マイクロガスタービン、バイオエネルギー的な実験を組み合わせて、それを地域できちんと実証、評価していくということが、これからまさにやらなければいけないところなのではないかと思っています。

 実は宮城県の100年ビジョンなどもつくっているのですが、そこでは地方分権とか道州制の問題が出てくる。であるならば新しい地域のエネルギーやバイオマスの利活用のための東北列藩同盟のようなものが確実に求められていくのではないか。そういう中で今日お集まりの日本の基盤を支えてきた大企業は、宮城県は宮城県らしいエネルギー政策とバイオマスの利活用、青森は青森らしく、岩手は岩手らしくという特色と独自性ある開発が結びついていくのが理想的です。そして、各県が例えばパイプランでつながれば、これをやるだけで、鉄鋼系のメーカーなども水素脆性のような良質な技術を反映させながら、現状の打開策的な事業を絶対につくっていける。さらに、今度は低温脆性のような問題を含めて、そうした東北の自治体に対してロシアと国際的なガスのパイプラインを結ばせるというようなことについての提案を一緒につくっていくという、シナリオとしてはそういう方向性ではないかと考えています。

米村 先ほど出たバイオマス関係のところで、われわれもある国際的なサークルでバイオの話をしているのですが、なかなかデリケートな問題が多くて、正面から取り上げられないのです。特にアジアの人たちは反発が強いです。そのときにエネルギー関係のバイオは比較的やりやすいのではないかということで、今グリーン・バイオ・テクノロジーというようなことで議論してみたらどうかということを考えてやりつつあるのですが、アジアの国にそういう技術を日本の技術と一緒にやっていくというようなことというのは、どのように思われますか。そういうことというのは、先ほどのアジアとの話でも意味はありますし、新しいエネルギー技術ということでも意味があると思うのですが、そういうことのフィージビリティをどのようにお考えでしょうか。

赤池 冒頭から健康住宅の話を持ってこさせていただいたのはまさにそれで、グリーンバイオという言い方自体が本末転倒という気がするのですが、やはりバイオマスというのはまずそういう健康住宅などに利用していく。あるいは堆肥化含めて、地域の一次産業を育てていく。同時に、今お話があったようにそこからエネルギーの転換をしていくというのは、日本だけではなくアジアでキャッチアップされてくるのではないかと思います。ただ、エネルギーというのは現状ではまだ副次的な要素で、グリーンバイオの考え方でつくったエネルギーで一体何をさせるのかというコンテンツを合わせて提案していくことが重要なのではないかと思います。今、中国もこれからの建設ラッシュを見越して、例えば竹筋コンクリートの研究に国家予算をつけ、西部開発プロジェクトの中でもそういう土、竹を含めた新しい建材、住基盤の開発プロジェクトなども進んでいます。そうしたものと地域の持続可能なエネルギーを沿わせてあげるというのが現実的です。

 あるいは、もともと生物学をやったこともあって昆虫資源の利活用についてはずっと国内の研究者と情報交流をしたり、中国の林業科学院とも研究してきたのですが、虫というと、ファーブル昆虫記でフランスのことを思い出してしまうのですが、実は北米やヨーロッパというのは虫の種数も個数も非常に少なく、日本や中国の共通の有用な資源なのです。昆虫からいろいろな次世代の創薬に結びつく機能性の物質の抽出をきちんとやっていこう。抽出するためにはエネルギーの仕組みがいるわけで、そうしたところにこうしたグリーンバイオなエネルギーシステムをセットして、昆虫資源の利活用を行う日中の共同プロジェクトのようなものをエネルギーの問題を含めて提案し、考えていくことが、重要なのではないかと思っています。

三橋 赤池さんに伺いたいと思ったのは、分散型で住みやすい住宅というような感じの中で、今臨海副都心などでは盛んに都心回帰で30階、40階建ての高層住宅の分譲が行われています。それについてはどのようにお考えですか。

赤池 次世代のエネルギーの現状としては、まさに高層住宅そのものを燃料電池のコージェネのシステムで運用するという実験フィールドとしては非常に可能性を持っているのではないかと思います。ただ、これは私よりも三橋さんやお集まりのみなさんの得意分野でしょうけれども、こういう再開発を含めた超高層の建設ラッシュのようなもの、そうした選択自身がたぶん持続可能なものではないと私は思います。当然そういうものが建ち上がってテナントが移動してくれば、まだまだこの後も使えるはずの既存のビルがガラ空き状態になってきて、マイクロスラムのようなものが、東京においても出てきてしまうかもしれない。これからの地域開発や、東京一極集中のような問題も含めてもう一度都心と地方のようなところでの、異なるシナリオの分散型エネルギーとか、開発シナリオをつくっていかなければいけないのではないかと思っています。

米村 最後の技術NGOのところですが、B-LIFE21の最初の頃の活動で、御殿場のフォーラムで確かヨーロッパとアメリカのNPOの人が来て、ヨーロッパの人が「NGOというのは、科学的でなければいけない。Scientificなことを提供していくことが非常に大事だ」ということを言われていたのが非常に印象的だったので、そういう意味で、最後のChapterは私も非常に大事ではないかと思って、是非がんばっていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、今企業の環境ランキングということをいろいろなところでやられていて、若干みんな困っているのですが、先日も監査法人のトーマツがやったりと、企業に対して今そういう動きが出てきていています。お話を聞いて思ったのですが、地方公共団体の環境ランキングというか、環境パフォーマンスというか、そういうことをやっていってみたらおもしろいのではないかということを感じました。例えば県単位でやったりすると、県知事は非常に張りきると思います。これは私の思いつきなのですが、そういうアプローチもやって見られたらどうかと思いました。

赤池 いろいろなマスコミや媒体がそれに近いことを始めているだけですが、実は最後にお話した中小企業のベンチャーシンボルのようなことも、やはりこれはずっと言われている良質のベンチャーキャピタルの仕組みがないわけです。横断的に分野だけで技術の評価とか、それの持続性を見れるというような専門家集団をきっちりと抱えたベンチャーキャピタルのようなものがあると中小企業の活性化を含めてずいぶん変わってくると思います。もしかすると、そういう職能人が集まっている科学技術NPOをつくれば、ある部分ベンチャーキャピタルのプラットホームのようなものになりますし、今お話がありましたように自治体や、ある地域の企業の環境面からのいろいろな認証評価を第三者の立場でやれる、そうした事業活動も科学技術NPOというのは担っていけるのではないかと思っています。

 私どももいろいろな企業の新規事業の相談などもやらせていただいているのですが、最近ご提案しているのが、例えばある一企業プロデュースの科学技術NPOのようなことというのが、私は現実的なのかもしれないと思っています。例えばエコリビングのお話をしましたが、例えば山間地の未整備の木を合理的なコストで切り下ろしてこなければいけない。そうしたときに、そうした機器を開発できる能力を持った技術者というのは、トヨタ自動車もそうですし、ホンダなどにもおられるのです。あるいは有機農業を見ていると、小規模営農をしておられる方々が使い勝手の良い農機を求めているのですが、日本の農機メーカーは全くおつくりになっておられない。例えばホンダなどでも昔、農機をつくっていたシニアの技術者がいるわけです。そういう方々が、例えばホンダプロデュース、あるいはある企業1社がプロデュースをして、もちろん社名は名乗れないのだけれども、そういう技術者の方がまずそういうものづくりで成功するNPOの成功事例をつくっていって、次のフェーズで今度は大同団結をしてもっと大きなフィールドの中で地域開発についての基盤整備、あるいは公益に資する製品開発や技術開発をしていくようなシナリオは、成立可能なのではないかと思い続けています。

宮沢 技術の開発を中心としていろいろご提案をいただき、平素大変お世話になっています。実は最近ショッキングなことがありました。私の家が古くなったのでこの際建て替えるということで、設計事務所を呼んでいろいろ話を聞き始めたのですが、大手のしっかりした設計事務所なのですが、残念ながら今先生のお話いただいたようないろいろスペックがありますが、ある意味ではエコロジカルな住まいづくりということでの原点に立った、一歩でも先を見たという提言があるものかという期待をしていたのですが、残念ながらほとんどない。当たり前の提案で終始した。「一体これはどういうことだ」という認識を持っています。

 今日の先生の話はまさにその通りで、いわば一歩、二歩先、あるいは次世代の住まいづくりという点では全く同感で、そうあるべきだと思っていますが、どう見ても現実とのギャップが非常に大きい。ですから実際に具体的な提案は誰がするかといえば、ハウスメーカーであり、設計事務所であり、あるいは施工はそれぞれの工務店なり、ゼネコンなりが展開していく。ところが、どうしてもそこに大きなギャップがあり、ブレイクダウンしていくというところを、例えば先生のところのNPOは、今後どういう取り組みをしながらあるべき姿に一歩現実的に近づけていくのかということが、一番大きな課題だと思います。提言は100%よく理解できるのですが、その辺のところの対応のあり方についてお聞かせ下さい。

赤池 家づくりについては象徴的なデータが出ていて、3年前から、例えば東京近郊で言えば、長野県の中小の工務店の木造住宅の売上げが倍々ゲームで増え始めているのです。これはたぶんシックハウスの問題を多くの生活者が知ってしまって、いろいろな住宅メーカーの住宅を見て「これはぜんぜん違うじゃないの」ということに目覚めているエコモラルな市場が顕在化し始めているからでしょう。この先に見えてくるのは結論から言うと、食べ物や住宅というのは、工業製品としてつくってはいけないプロダクトなのではないかということです。

 要するに、今の大手のハウスメーカーというのはまさに工業製品として、ある種ワンスタンダードな本州仕様のもので九州や北海道に売ってきて、いろいろな結露や耐久性被害の問題を起こしてしまった。そうはいっても一足飛びに自社のネットワークやラインを変えられない。実はそこに今、隙間のように地場の工務店やハウスビルダー、あるいはそこに自治体を巻き込んだ地域の中の健康住宅のビジネスモデルをつくり込んでいるのですが、たぶんこうしたところが虫食いのように大きく広がってくるような戦略設計ができるのではないかと思っています。

 ただ、大手のメーカーなども、冒頭で話しました藁床の代わりにヒノキの廃材を使って、天然の抗菌防虫性の畳をつくっていくと、東日本ハウスなどが扱い、商品にするようになった。あるいは先ほど建材の情報公開に触れましたが、そういうエコ建材の情報公開のようなものが、生活者が参画をしながらどんどんムーブメントになってくると、まずそういう部材調達のようなところから多分の大手のメーカーも徐々に変わっていくようなシナリオが設計可能なのではないかと思っています。

 エネルギー関係は難しいと思いますが、これはやはり先ほどの燃料電池の一酸化炭素のヒバクの話もしたのですが、やはり国として10年、15年先の水素エネルギー社会のためにどういう基盤で、どういう水素媒体でいくのか、腰をすえた政策を打ち出してほしいと思います。ところどころに水素スタンドがあっても絶対に回らない世界なので、ここについてはまさに今日お集まりの日本の指導者の方々が、内閣府への提言を含めてガリガリやっていただければと思っています。

三橋 どうもありがとうございました。これで今日の朝食会を終了したいと思います。





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