〈2024年3月9日撮影)
明治になって間もなくの1873年(明治6年)、東京都北区王子に「抄紙会社」が設立されました。輸入に頼っていた洋紙の国産化を目指して渋沢が中心になって設立しました。76年に「製紙会社」に改称、さらに1893年(明治26年)、商法施行に伴って「王子製紙株式会社」へと改称しました。渋沢はパリ滞在中、新聞による情報伝達の速さに驚きます。数日前に起こったニュースの詳細が今日の新聞に載っている。それが多くの人に読まれ、社会や政治、経済を変えていく。それを可能にしたのが、大量の紙(新聞紙など)を生産できる製紙会社が存在するからだ。経済活動の交換手段として欠かせない紙幣も紙で作られている。日本にも昔から和紙があるが量産できない。洋紙を造る製紙会社を日本にも設立しよう。こんな渋沢の願いが王子製紙の誕生となりました。
(注)王子製紙と関連して、渋沢栄一歴史散歩⑤は「最初に洋紙印刷された新聞社はどこ?」、歴史散歩⑥は「渋沢万札はここで印刷、国立印刷局王子工場」です。